FA機器・伝導機器の幅広い取扱いから最適なエンジニアリングを実施
COLUMN
人手不足への対応として、産業用ロボットによる自動化を検討される工場が増えています。その際、多くのご担当者様が最初に迷われるのが「どのくらいのサイズのロボットを選べばよいのか」という点です。
「小型のロボットで十分なのか」
「将来もっと大きなワークを流すことになったら足りなくなるのではないか」
——こうした不安から、必要以上に大きな機種を検討してしまうケースも少なくありません。
今回は、小型の産業用ロボットの定義や種類、そして「小型でどこまで対応できるのか」という疑問について、当社の実際の導入事例を交えながら解説いたします。
小型の産業用ロボットとは、可搬重量が比較的軽く、設置面積の小さい産業用ロボットを指す呼び方です。
ただし注意が必要なのは、「何kgまでが小型」という明確な規格上の区分は存在しないという点です。
たとえば不二越のMZシリーズは、1kg可搬の機種から25kg可搬の機種まで幅広くラインナップされていますが、その最上位機種であるMZ25は、メーカーの資料では「中型」と紹介される一方、販売店の資料では「小型ロボットの中で最も可搬重量が大きいタイプ」と表現されることもあります。呼称は情報源によって揺れているのが実情です。
そのため、機種を検討する際は「小型」という言葉そのものではなく、次の3つの数値で判断することが重要です。
一般的な感覚としては、可搬重量がおおむね20〜25kg程度までのクラスが小型に位置づけられることが多く、この範囲でも1,800mmを超えるリーチを持つ機種が存在します。「小型」という言葉から受ける印象よりも、実際にカバーできる作業領域はかなり広いとお考えいただいて差し支えありません。
人の腕に近い動きができるタイプで、最も汎用性の高い形式です。小型機でも6軸を備えたものが多く、複雑な姿勢での取り出しや、傾けながらの搬送に対応できます。工作機械へのワーク供給、組立、検査工程など幅広く使われています。
水平方向の動きに特化した形式で、上から下へ「置く」「差し込む」動作の高速な繰り返しを得意とします。電子部品の実装やネジ締めなど、速度が求められる工程に適しています。
人と同じ空間で作業することを前提に設計されたロボットです。リスクアセスメントを実施し、条件を満たせば安全柵を設けずに運用できる場合があります。設置の自由度が高い反面、一般的な産業用ロボットと比べて動作速度が制限される点は考慮が必要です。
種類ごとの詳しい違いについては、コラム「工場の稼働に欠かせない!令和時代のロボットシステム構築のススメ」でも解説しております。
工場の床面積には限りがあります。小型機は本体が軽量・スリムなぶん、既存の設備を大きく動かさずに設置できる可能性が高くなります。近年の機種は中空手首構造を採用し、ハンドへの配線・配管を内部に通すことで周辺設備との干渉を避けられるものも増えています。
ロボット導入の費用は本体価格だけではありません。安全柵、架台、制御盤、ハンド、設置工事といった付帯費用が積み上がります。小型機は架台や基礎の要件が緩く、総額を抑えやすいという特徴があります。
小型機は1台あたりの投資が小さいため、成功した工程から順に同じメーカー・同じシリーズで横展開しやすいという利点があります。後述しますが、この「メーカーを揃える」という視点は、保守面で大きな差を生みます。
ここが最も誤解されやすい点です。
小型ロボットで扱えるワークの範囲を決めているのは、ロボット本体のスペックだけではありません。実際には、次の3つの設計が対応範囲を大きく左右します。
大小さまざまなワークを1台で扱えるかどうかは、ハンド設計に懸かっています。ワーク形状に応じた把持方式、段替えの要否、そしてハンド自体の重量配分——ここを作り込めるかどうかで、同じロボットでも対応できる品種の幅はまったく変わります。市販のハンドをそのまま使うのではなく、扱うワーク群を前提に設計することが重要です。
ロボット本体のリーチが足りない場合でも、スライダー(走行軸)に載せることで動作範囲を大きく広げられます。大型のワークや、離れた位置への受け渡しが必要な工程では、本体を大型化するのではなくスライダーを追加するほうが、コスト・スペースの両面で有利になるケースがあります。
ロボットが取りに行く先のワークストッカーの設計も、対応品種を決める要素です。ロボット単体で考えるのではなく、供給・排出まで含めたシステムとして設計することで、はじめて実用的な自動化になります。
つまり、「小型では足りないのでは」という不安の多くは、機種選定ではなく周辺設計で解消できるということです。
小型ロボットの導入は、新規だけではありません。すでに稼働しているロボットの老朽化更新(レトロフィット)も大きな需要があります。
このとき、単に「同じ動きをする新しいロボットに置き換える」だけではもったいないケースがほとんどです。近年の小型機は、従来機と同等以上の動作範囲をより軽量・コンパクトな本体で実現しているものが多く、更新のタイミングでハンドや周辺機構を見直せば、自動化できるワークの種類を増やせる可能性があります。
「老朽化したから同じものに交換する」ではなく、「更新を機に、これまで手作業だった品種も自動化できないか」——この視点を持って検討されることをおすすめします。
カタログの可搬重量は、手首先端で扱える総重量です。ワークが5kgでもハンドが4kgあれば、必要な可搬重量は9kg以上となります。見落とされやすい点です。
産業用ロボットの設置には、労働安全衛生関係法令に基づく安全対策が求められます。原則として可動範囲を柵などで囲う必要がありますが、リスクアセスメントを実施し、危険が生じるおそれがないと認められる場合には例外的な運用が認められることもあります。安全柵の設置も含めて、導入計画の初期段階から検討すべき項目です。
ロボットシステムは、導入して終わりではありません。トラブル時にどれだけ早く駆けつけてもらえるかは、稼働率に直結します。そのため、お客様の工場の近隣に拠点を持つSIerを選定できるかどうかは、長期的に見て非常に重要な要素です。当社では、案件ごとに最適な協力会社を選定し、導入後のサポート体制まで含めてご提案しております。
ロボットシステムには、PLCをはじめとする多くの電気部品が使われます。過去には半導体不足により、これらの部材の納期が大きく遅延した時期もありました。システム設計・電気設計を先行させ、必要な部材を早期に確保しておくことが、納期を守るうえでの現実的な備えとなります。

NC旋盤のワーク供給に長年使用されてきたロボットの更新をご依頼いただいた事例です。
ご要望は単なる老朽化対応ではなく、「自動化するワークの種類を増やしたい」というものでした。限られたスペースの中で、当社は不二越製ロボット「MZ25」をご提案。メーカーと同行のうえ現場でタクトタイムを算出し、ラフスケッチを交えて導入イメージを共有しました。
ロボット本体だけでなく、ワークストッカー、大型部品に対応するスライダー、安全柵に至るまで一貫して設計・施工。大小幅広いワークに対応するため、ハンド設計を特に作り込んだのがポイントです。結果として、装置全体のタクトタイムが改善され、自動化できるワークの対応幅も大きく広がりました。
▶ NC旋盤へのワーク供給用産業ロボットのレトロフィット事例はこちら

化学品メーカー様へ、樹脂シートのカット装置を納入した事例です。仕様をヒアリングしたうえで、不二越製「MZ12」を採用しました。
この事例で注目いただきたいのは、工場内で使用するロボットのメーカーを揃えるという視点です。同一メーカーで統一することで、保守部品の管理を集約でき、メンテナンス面での負担とコストを抑えられます。装置単体の価格低減にとどまらず、工場全体の保守性向上につながった事例です。
小型の産業用ロボットは、限られたスペースと投資額で自動化を進められる有力な選択肢です。そして「小型では対応できないのでは」という不安の多くは、ハンドや周辺機構の設計によって解消できます。
一方で、その設計こそがロボット導入の成否を分ける部分でもあります。機種選定、ハンド・周辺機構の設計、安全対策、SIerの選定、部材の調達まで——検討すべき事項は多岐にわたります。
FDエンジニアリングサービスを運営する藤川伝導機では、1,000社を超えるメーカーネットワークを活かした機種選定に加え、アフターサポートまで見据えた協力会社の選定、システム全体の設計・施工までを一貫してご支援しております。
産業用ロボットの新規導入、既存ロボットの更新をご検討中の方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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