FA機器・伝導機器の幅広い取扱いから最適なエンジニアリングを実施
COLUMN
2025年、事業所における熱中症対策が義務化されます。この法改正は、近年増加傾向にある職場における熱中症発生件数と、それに伴う労働災害の深刻さを背景として、働く人々の安全と健康を守るために不可避の措置と言えます。特に、高温多湿になりやすい工場現場においては、適切な対策を講じることは企業の責務であり、生産性の維持、ひいては企業価値の向上にも繋がる重要な課題です。本稿では、義務化の背景にある現状と課題を明らかにし、具体的な対策について解説していきます。
2025年の熱中症対策義務化の核心は、事業者が講ずべき対策をより具体的に、そして義務として明確化した点にあります。これまでの努力義務とは異なり、今後は一定の基準に基づいた熱中症対策の実施が法的に求められます。
具体的には、WBGT(湿球黒球温度)値の測定と、それに基づいた適切な作業管理、休憩場所の確保、水分・塩分補給の推奨、労働者の健康状態の把握などが義務付けられる見込みです。これらの措置を怠った場合、罰則が科される可能性もあるため、事業者は早急に体制を整備する必要があります。
義務化に向けて、事業者が具体的に行うべき対策は多岐にわたります。まず、作業環境におけるWBGT値を正確に測定し、その結果に基づいて作業時間や休憩時間を適切に管理することが求められます。また、WBGT値が高い場合には、作業の中断や作業時間の短縮、より涼しい場所への移動などの措置を講じる必要があります。さらに、労働者がいつでも水分や塩分を補給できる環境を整備すること、体調不良を訴えた労働者への適切な対応、熱中症に関する教育や情報提供なども重要な対策となります。これらの対策を網羅的に実施することで、労働者の安全と健康を守り、義務化への対応を確実なものとする必要があります。
工場内は、製造プロセスで使用される機械や設備から発生する熱、そして屋外からの日射などにより、高温多湿になりやすい特有の環境にあります。単に気温が高いだけでなく、湿度が高い状況では汗が蒸発しにくく、体温調節機能が十分に働かないため、熱中症のリスクが格段に高まります。そのため、換気を徹底し、湿度を下げる対策が重要となります。局所的な換気扇の設置だけでなく、工場全体の空気の流れを考慮した換気システム・空調システムの導入も有効な手段です。
工場内には、高温に熱せられた機械や金属製品などが存在し、そこから放出される輻射熱も熱中症の大きな要因となります。輻射熱は、空気の温度が低くても直接人体に作用するため、体感温度を著しく上昇させます。この輻射熱対策としては、熱源となる設備への遮熱対策、作業者への遮熱服や保護具の着用などが考えられます。また、作業スペースと熱源との距離を確保することも有効な対策の一つです。
日々の体調管理も、熱中症予防においては非常に重要です。睡眠不足や体調不良の状態で高温環境下での作業を行うと、熱中症のリスクが高まります。事業者は、労働者に対して十分な睡眠時間の確保や、体調不良時の申告を促すとともに、作業前の健康チェックなどを実施することが望まれます。また、WBGT値に応じた適切な休憩時間の確保と、休憩場所の整備も不可欠です。涼しく、風通しの良い休憩場所を用意し、労働者が十分に体を休めることができる環境を整えることが重要です。
まずは、作業場所におけるWBGT値を定期的に測定し、その結果に基づいて作業計画や休憩時間を調整することが義務化の重要なポイントとなります。WBGT値が基準値を超えている場合、対策が必要となり、身体作業強度が低い作業に変更する、冷房などにより該当環境をWBGT値の基準値以下にする対策などが必要となります。
WBGT値が高い時間帯には、労働者が適切に休憩できる涼しい休憩場所を確保することが重要です。空調設備を備えた休憩室を設置するだけでなく、屋外作業者向けには日陰となる休憩スペースを設けるなど、作業環境に応じた配慮が必要です。また、休憩時間の取得を促すための声かけや、休憩しやすい雰囲気づくりも大切です。
のどが渇く前にこまめな水分補給を促すとともに、発汗によって失われる塩分の補給も重要です。事業者は、作業場所や休憩場所に飲料水や塩分補給タブレットなどを常備し、労働者が容易に利用できる環境を整備する必要があります。また、熱中症予防に関する教育や啓発活動を通じて、労働者の意識向上を図ることも重要です。
工場内の熱気や湿気を効率的に排出するため、換気システムの導入や既存システムの改善は不可欠です。自然換気を基本としつつ、冷房設備や全体換気システムを適切に組み合わせることで、作業環境の温度と湿度を効果的に管理できます。特に、熱源となる設備周辺の換気を強化することが重要です。
工場における熱中症対策として、屋根の遮熱対策は非常に有効な手段の一つです。太陽光が直接当たる屋根からの熱侵入を抑制することで、室内温度の上昇を大幅に抑え、作業環境の改善に繋がります。具体的な対策としては、以下のものが挙げられます。
遮熱塗料の塗布
特殊な顔料やセラミックを含んだ遮熱塗料を屋根に塗布することで、太陽光の近赤外線を効率的に反射させ、屋根材自体の温度上昇を抑制します。これにより、建物内部への熱伝導を減らし、室温の上昇を抑える効果が期待できます。
遮熱シート・断熱材の設置
屋根材の上に遮熱効果のあるシートを設置したり、屋根裏に断熱材を敷き込んだりすることで、外部からの熱侵入を防ぎます。遮熱シートは太陽光を反射する効果が高く、断熱材は熱伝導を遅らせる効果があります。
屋根緑化
屋根を植物で覆うことで、断熱効果と冷却効果が期待できます。植物の蒸散作用により、屋根表面の温度上昇を抑え、建物内部への熱侵入を抑制します。また、CO2吸収による環境負荷低減効果も期待できます。
万が一、熱中症を発症した労働者が出た場合に備え、迅速かつ適切な応急処置を行える体制を整備しておくことが不可欠です。救急連絡体制の確立、応急処置に必要な資材の準備、そして定期的な救命講習の実施などが求められます。発症者が出た際の対応手順を明確にし、全労働者が理解しておくことが重要です。
2025年の熱中症対策義務化に向けて、工場ではより一層の対策が求められます。FDエンジニアリングサービスでは、お客様の工場環境を詳細に分析し、法令を遵守した最適な熱中症対策をトータルでサポートいたします。
1. WBGT測定に基づいた最適な施策提案
お客様の工場におけるWBGT値を正確に測定し、そのデータに基づいて、作業内容や環境に合わせた最も効果的な対策をご提案いたします。画一的な対策ではなく、現場の状況を的確に把握した上で、費用対効果の高いソリューションをご提供いたします。
2. 換気・空調システム導入への一貫対応
熱気や湿気がこもりやすい工場環境に対し、最適な換気・空調システムの設計から施工、メンテナンスまで一貫して対応いたします。最新の技術と豊富な経験に基づき、省エネルギーで効率的なシステムを構築し、快適な作業環境を実現します。
3. 遮熱対策の設計・施工への一貫対応
太陽光による温度上昇を抑制する遮熱塗装をはじめとした、各種遮熱対策の設計・施工を自社で一貫して行います。建物の構造や予算に合わせて最適な遮熱方法をご提案し、専門の技術者が高品質な施工を実施いたします。
【概要】
食品業界のお客様向けに省エネ対策提案をした事例になります。
工場の設備更新をした結果、契約電力が上がってしまった点、夏場の屋根裏が非常に高熱になる点から、対策が必要な状況でした。
施工後、屋根裏で作業をされる担当者様からも、明らかに温度が下がっている、労働環境が良くなったとお喜びの声も頂いております。
様々な業種・業態のお客様のお困りごとを解決してきた当社であれば、本事例のような労働環境の改善や、エネルギーコスト削減につながる提案を実施することも可能です。
いかがでしたでしょうか。
FDエンジニアリングサービスでは、設備設計・制御・施工・修理まで一貫して対応できる技術力を活かし、単なる暑さ対策ではなく、生産現場における熱中症リスクを多面的に分析・改善します。
屋根や壁からの輻射熱対策としての遮熱施工に加え、送風機や局所冷却装置など空調機器の最適配置も含めた、空間全体の温度コントロールを実現します。さらに、作業動線や機器の配置も踏まえたゾーンごとの温度差対策にも対応。
お客様の設備構造や稼働条件を熟知したエンジニアが、現場に最適な手法を組み合わせてご提案します。ぜひご相談ください。
FDエンジニアリングサービスをご覧いただきまして、誠にありがとうございます。
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